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2023年11月22日(水)

林業×木工!ブナの丸太を製材する。

「広葉樹の簡易製材と木材乾燥」の授業でブナの丸太を製材しました。

この授業はクリエーター科の林業専攻の学生と木工専攻の学生が参加する共通授業です。前回の実習で間伐してきたブナを、今回は製材して板に挽きました。(前回の伐採の様子はこちら『林業×木工!ブナの林を間伐して収穫する。』)

林業の学生にとって「製材」や「乾燥」というのは、実はそこまで普段は扱わない作業です。でも、一方で木材を素材として扱う木工専攻からしてみれば、木のもの作りはまず「材料ありき」で全てが始まるので、材料の取り方はとても重要です。どんな素敵なデザインの家具を考えたとしても、手元に材料になる木の板が無ければ、それは実現できません。

木工を行う際に「どのような材料が必要なのか」これがわかれば、現在、切り捨てやチップに回るだけだった広葉樹を、林業側はより付加価値の高い市場に売り出せるかもしれません。このような「もの作りにおける木材の価値」についての視点を得てもらうのが、この実習のねらいでもあります。

まずは丸太の長さを伐りました

バッテリーチェーンソーで丸太の長さを調節します

山から下ろしてきた元玉(立ち木だった時に1番根本側の丸太)はアカデミーの簡易乾燥室には入らないサイズだったため、まずは根本側をバッテリーチェーンソーで切り落としました。これは木工専攻で使っているチェーンソーですが、写真の40㎝程度くらいまでの丸太を切ることが可能です。

丸太を前に意見のぶつけ合い

丸太を前にどう鋸を入れようか検討します。あーでもない、こーでもない・・

丸太をロープで簡易製材機に引き上げて、外に見える部分を観察しながらどうやって鋸を入れるか考えていきます。木工専攻ではこのブナの丸太から、来年度の実習で講義室の机を作ることを想定しています。机の天板の厚み、将来的な乾燥や曲がりも考慮に入れながら、何ミリの板厚にするのかも考えていきます。

製材!

製材!

昨年度に更新した新しい製材機(可動し始めたのは今年度からですが)で板を挽いていきます。ブナには偽心材(ブナ材に多く見られる赤黒く変色した部位)が出ることも多いのですが、今回挽いたブナは偽心材が少ないきれいな板が多く取れました。板の色味や節の出具合など、刃を入れてみないとわからない製材は、毎回ドキドキしながらの作業です。良い木目が出てきたときは学生からも歓声があがります。

樹皮を落とす

樹皮をセンで削り落とします

製材した板に樹皮を残してしまうと、乾燥が進みにくくなったり、虫が入って穴が開いてしまうため、今回はセンを使って樹皮を手作業で削り落としました。

アカデミーの簡易製材機ならではの作業

アカデミーの簡易製材機ならではの短尺モノの製材

アカデミーの簡易製材機は丸太を固定する「爪」をオプションで追加することで、長さ30㎝強~くらいの長さから製材ができるようにしています。普通では、まずやらない短尺丸太の製材ですが、これができることで規定の長さに満たない木材の活用や複雑な木目が魅力的な株元も材料として使うことが可能になります。今回は長さ40㎝の根元の部分を木工旋盤や刳(く)り物用途の厚みのある材料用に挽きました。

林業と木工の学生が一緒に製材を行います

林業と木工の学生が意見を交わしながら製材を行うことに学びがあります

木工専攻の学生にとって「この部分は机用」「この部分は旋盤用」「ここはグリーンウッドワークのスプーン用」というふうに無駄なく、自分たちが作るモノをイメージしながら製材をする体験はとても大切です。以前は製材と言えば、専門の製材業に依頼して板に挽いてもらったり、賃挽きと呼ばれる時間当たりいくら~といった形で製材をするような方法が一般的でした。それをするにしても、木の見方や製材の考え方がわかっていないと、どう指示をして良いかもわかりません。自分が思う材料を入手するために、このような簡易製材機を導入する作り手や林業の担い手も、これから増えていくのではないかと思います。

この実習で大切なのは、自分の仕事に木の見方や機械の使い方を落とし込み、いかにして木や作品に付加価値をつけていくかを考えることにあります。ぜひ、この体験をこれからの活動に活かしていって下さい!

(おまけ)

今年も伐採から製材までの実習の様子を動画でまとめました。ほのぼのとして、でも真剣な学生たちの実習の様子をご覧ください。

木工専攻 講師
前野 健