木材市場と森をみる「原木の利用と流通」
アカデミーならではの林業と建築が交わる実習が行われました
本科目ではクリエーター科林業の1年生と木造建築2年生に向けて開講されています
今回視察した現場について林業学生(前半)・建築学生(後半)がそれぞれブログの記事を書いてくれました。どんな見学先だったのかどうぞご覧ください
クリエイター科【林業専攻の後藤】です。
今回は、「原木の流通と利用」という林業・木工・建築専攻から学生が参加する授業で、「東濃ヒノキ白川市場協同組合」さんの木材市場を見学させて頂いた様子をリポートいたします。
見学当日が市場設立から38周年の記念市とのことで、今日のための目玉商品も並ぶ特別な市場を見させて頂きました。
こちらの市場は森林作業班も持つ、ちょっと特殊な組合さんで、記念市を目指して「こんな材も出したい」という気持ちから山での作業も行なっているそうです。
実際のニーズや市場の感覚を、山での施業に反映できる仕組みがとても素敵だと思いました。
モミや太いヒノキも、今回の記念市に出すために切られてきたそう。
どんな材がいくらで売られるのか?まだまだイメージが出来ない私たち学生も、職員の方のご説明や思いを伺いつつ、落札価格を予想してみました。
材の価格は普段あまり想像しづらいものの、将来に直結する事なので、どの専攻も真剣です。
お昼になると、おもむろに入札価格の発表が始まります。
ものすごいスピード感に、学生側は必死にメモります。気になってた材の価格の高さ、もしくは低さに、驚きの連続でした。
そして今回最高値がこちらのヒノキ8m直径54cm、立米単価58万円!
最高値ヒノキの用途を伺ったところ、カウンターとして使われるとのこと。その利用方法も予想外でこれまたびっくり。
どんな需要があり、どうしたら高く売れるのか、考えるのにとてもわくわくしました。私は林業専攻で用途についてまだあまり知識がありませんが、用途を考えることで山の施業も変わってくるんだなと実感できました。
岐阜県では、市場を通さず、買い手の希望によって販売する材を決めるシステム販売方式が普及しており、こちらの市場さんもシステム販売と市場での販売は、普段では9:1とシステム販売が主な売り方となっているそうです。
しかし、ちょっと特別な材が高価格で取引されるのは市場ならでは。とても貴重な現場での学びの機会を頂けました。
これからのアカデミーのでの学びで、材の見方がどう変わってくるのか楽しみです。
後半の報告は【木造建築専攻の坂本】です
午後からは、市場の主力材を搬出した山へ見学に行きました。約150万の値が付いた材もこの山から搬出したそうです。
案内は山主さんと伐採と搬出を行った東農ヒノキ白川市場協同組合・林業班の加藤さんと杉山さん(18期Er)がしてくださいました。
出材方法は架線を利用し林道まで、枝が付いた常体の木を引きずり出し、プロセッサーを使用し枝払い、玉切りを行うといった方法でした。プロセッサーを最大限活かし、生産性の高い方法だと感じました。
伐採の方針としては、今後山を継いで素材生産として利用する予定がないので、今高く売れる木をなるべく伐って山主さんの利益が出るようなプランで進めているそうです。
林道から実際に伐採が行われた切り株まで皆で歩きました。山主さんも「若者には敵わない」と言いつつ学生と一緒に登りました。落ちていた枝を杖にしてスイスイ登っていく山主さんの背中がとてもカッコよく見えました。
山が活き活きしていたのは、山の中を歩き回る山主さんが居るからでは、と感じました。
峰まで登り、約150万の切り株と記念撮影。
帰りには、切り捨ててあった根本の部分をもらって帰り、翔楓祭の看板として、利用させていただきました。
山と市場の個々の連携が取れた、理想的な林業がそこにはありました。このような生産側と消費側が連携の取れた林業が今後必須になると思います。今回、見学をし、体験や感じたことを各分野で山に利益の出るよう活かして行こうと思います。
東農ヒノキ白川市場協同組合の皆さま、山主さんこのような機会を作っていただき、ありがとうございました。
森と木のクリエーター科 木造建築専攻 坂本
編集:新津裕