次世代の構造設計への知見の蓄積・・・常時微動測定機「教員の道具箱」シリーズ
常時微動測定機
建物は常に(常時)非常に小さい揺れ(微動)を生じています。この揺れを「測定」することをしていて、その測定機を「常時微動測定機」と呼んでいます。
この常時微動を測定することにより、建物の剛性、耐力などを推測することをしています。新築建物では構造強度の確認をし、改修建物では改修前後で測定をして補強効果の確認をしています。
現在の木造建築(特に木造住宅)の耐震設計が主となっている構造設計法では、建物の振動状態については直接的に設計検証がなされていません。しかし、建物の振動状態の設計検証は非常に重要なことであると考えています。
文化財や社寺建築などの建物では常時微動測定がなされている場合が多いです。また、すべての新築物件(住宅など)の常時微動測定をしている工務店さんも岐阜県内にはあります。
次世代の構造設計では振動解析などを通じて検証していくことも普通になっていくのではないかと考えられますし、実物件の振動測定による振動性状の検証なども普通に行われているようになるのではないかと考えています。
この常時微動測定機は、次世代の構造設計への知見を蓄積する道具として、私にとって大事なものです。
小原勝彦