日射熱制御をマスターしよう(パッシブデザイン設計法 第4回)
専門技術者研修のパッシブデザイン設計法全6回の4回目。ようやく折り返し地点です。
今回のテーマは「日射熱制御をマスターしよう」です。パッシブデザインのキモになります。
朝から夕方までのハードなスケジュールの中、教室いっぱいの参加者です。
今回は、
1.日射熱制御の効果、2.実例を通した計算の流れ、3.断熱性能も含めた簡易暖冷房負荷計算から暖冷房設備を選定、4.窓の日射熱の取得と熱損失の計算、5.日射熱制御の計算ドリル演習と盛りだくさん。おまけに宿題も・・・。
日射でよく見る上の図。。。夏は庇で日射を遮り、冬はしっかり取り入れる・・・・・庇に過大な期待をしすぎています。二つの意味でもっと検討しないといけません。
1点目は、この図は昼の12時を示していますが、暑いのは12時だけでなく、朝の10時にはそろそろ暑くなってきて、夕方4時も結構暑いと思いませんか。その時刻の太陽高度は・・・もっと低いです。
2点目は、夏至って何月何日ころでしょう。6月21日前後です。さすがに冷房も必要なく、心地いい時期ですね。最も熱くなるのが7月下中から8月上旬ころ。この時期にもう少し太陽高度が下がってきています。
つまり、日射をコントロールするのは、庇も重要ですがそれだけでは不十分で、ガラスや窓枠の性能、障子やロールスクリーンなどの付属物とセットで検討する必要があります。
このあたりもしっかり計算で効果を確認しつつ設計をしていきます。
途中で、閑話休題?でパッシブデザインには欠かせない気象データの外観もしました。
岐阜県は、岐阜市から飛騨市まで、標高差や南北差もあり、気象条件がかなり異なります。下の図は岐阜の平均気温を示していますが、比較のための東京の赤と、それ以外の岐阜県の各地では極端なばらつきがあります。岐阜で最も寒いのは六厩(ムマヤ)です。東京との冬の温度差12℃。寒いわけです。
気温のほか、パッシブデザインには欠かせない日照状況なども岐阜県各地で見ましたが、千差万別です。これは、きちんとデータを読み取って計画しないいけません。
次にアカデミーも教育連携しているロッテンブルク大のあるドイツとも比較しました。下の図は日照時間を示していますが、ドイツ全土は概ね似た傾向を示していて、夏期に日照は多いですが、冬期は極端に少なくなっています。
ドイツと比べると日本は比較的年間を通して安定してて、冬期に日射は多い方です。岐阜市あたりだと冬期に倍近い日射量があります。これを活かさない手はありません。冬期に日射が少なく比較的ドイツに近いのは高山あたりです。
今回は、冬期の日射熱取得と夏期の日射熱遮蔽を定量的に計算できるようになることが狙いでしたが、これをきちんと設計に活かしていくには高度な設計力が必要です。
この設計がスタンダードにできるようになると、ものすごい武器になります。
あと2回のパッシブデザイン設計法。次回からはエネルギーに話題を移して講習が始まります。
准教授 辻 充孝