データからのモノ作り「デジタルファブリケーション」
デジタルファブリケーションという言葉をご存知でしょうか?
近年、3Dプリンタやレーザーカッターといった、比較的新しい工作機械が話題になることが増えています。これらは「モノ作りスペース」や「Fab Lab(ファブラボ)」と呼ばれるDIYスペースでも利用でき、モノ作りの手法としても普及してきています。
今回は木工専攻の1年生が、このデジタルデータからモノ作りをする手法「デジタルファブリケーション」を体験してきました。
(今回の授業は学校連携をしている情報科学芸術大学院大学(IAMAS)の小林茂教授と技術支援専門職の高見知里さんに授業の企画段階からご協力頂き、IAMASのイノベーション工房をお借りして行いました)
授業は小林先生のデジタルファブリケーションというモノ作りについてのレクチャーから始まりました。とかく、新しい技術が入ってきますと、人は拒否反応を示すことがあります。特に木工のような(一般に)アナログなモノ作りをしていると、パソコンデータから入るモノ作りには抵抗を感じがちです。
そのあたりの作り手のモヤモヤを小林先生は「人 対 機械」の関係になるのではなく「人 と 機械」の関係になろう、という表現で整理してくれました。木工機械の1つとして、新しい選択肢の1つとしてデジタルファブリケーションを活用する。確かにその方が生産的な考え方ですね。
といっても、普段親しみの無いパソコンソフト(今回はイラストレーターとフォトショップ)を使ってのデータ作りは大変です。高見さんに練習用のデータを準備して頂き、それを基にレーザー彫刻の加工データを作りました。
パソコンとの悪戦苦闘の末、1日目に出来上がったレーザー彫刻の加工サンプルです。
今回は特にレーザー加工の表現の特徴を体験してもらおうと考え、様々なパターンのデータで写真の表現を試してもらいました。樹種による視認性の違いもさることながら、写真に関してはデータの作り方によって、かなり完成度の高い表現ができました。
2日目は朝からデータを持ち寄り作品作り。
トライアンドエラーの繰り返しです。
竹にレーザー彫刻をしてみたり
レーザーのスピードを調節してピラミッドを作ってみたり
カーフベンディングに挑戦してみたり
他にもいろいろなアイデアを出して出来上がったのが、こちらの成果品です。
データ上でイメージした表現が木に彫刻すると思ったような仕上がりにならず、苦労した部分が多かったです。最後のふりかえりでは「もっと簡単にできるイメージだったが、思った以上に試行錯誤が必要で調整に苦労した」という感想も上がりました。
それでも2日間の実習を通して、デジタルファブリケーションというモノ作りがグッと身近に感じられるようになったと思います。今後のモノ作りでの活用を楽しみにしています。
※この授業は学校連携をしている情報科学芸術大学院大学(IAMAS)の小林茂教授と技術支援専門職の高見知里さんに授業の企画と運営にご協力頂き、IAMASのイノベーション工房をお借りして行いました。この場を借りてお礼申し上げます。
IAMASのウェブサイトでも授業の様子を紹介して頂いています。こちらもあわせてご覧下さい。
http://f-labo.tumblr.com/post/170362410030/shinrin2017
木工専攻 講師
前野 健