治具で広がるモノ作り「電動工具の成形加工」
治具という言葉をご存知でしょうか?
木工で使う治具とは、おもに機械作業の補助具のことを指します。治具を正しく使うことで安全かつ高精度な加工が可能になります。また、治具の活用は生産性のアップにもつながります。
プロの木工現場では様々な治具が使われています。今回の授業ではルーターと呼ばれる機械の使用方法と基本的な治具の作り方を学びました。
治具作りのポイントはいくつかありますが
1、安全な加工材の固定
2、正確な位置決め
3、精度の高い加工ガイド
といったことが基本になってきます。
今回の実習では3つのグループに別れて、それぞれ別の治具を作ってもらいました。
まずは治具の基盤となる合板上に、どのようにして材を固定し、加工を行っていくか治具のレイアウト(デザイン)を考えていきます。
治具作りというのは基本的な考え方はありますが、およそ作り手が100人いれば100通りの異なった治具が出来上がります。おなじ道具を使っていてもレイアウトが少し異なるだけで使い勝手が変わってきます。今回も基本的な治具作りのポイントを伝えたら、後はグループ内で治具のレイアウトを考えてもらいました。
基盤の上で「良い!」と思ったレイアウトも、いざ機械に運んで作業のシュミレーションをしてみると、機械のパーツに干渉してしまい「使えない・・」なんてこともあります。まだ経験の少ない学生達にはなかなか難しい課題ですが、皆でアイデア出しとシュミレーションを繰り返しながらカタチを決めていきます。
そんな作業を経て、治具のレイアウトが決まったら次は加工に入っていきます。
トグルクランプを固定するための穴をあけ。
加工のガイドになるテンプレート(型板)を正確に削り出し。
加工材の位置を正確に決めるためのストッパーを取り付けます。
治具の形が出来上がったらいよいよ加工作業に入っていきます。
治具が完成してしまうと、後の作業は淡々とあっという間に進んでいきます。
学生によっては「あんなに時間をかけて治具を作ったのに、使うのはこれだけ?」と思ったかも。でも、それこそが治具の効果なんですよね。
授業に参加したのはこの春入学してきた1年生達ですが、機械作業もかなり板に付いてきました。夏休み中もそれぞれの課題に取り組み、頻繁に工房に出てきていた学生達の成長を感じました。