エンジニア科も林業の神髄に ~でもそれだけじゃなかった
先日のクリエーター科1年生の見学に引き続き、エンジニア科1年生も中原林業を訪れました。
社会人経験者が大半を占めるクリエーター科に対して、今回のエンジニア科はほとんどが高卒1年目。中原さんには、学生に合わせたお話しをしていただきました。
最初の現場は、130年生のスギ人工林。中原林業での標準的な伐期齢80~90年をずっと超える高齢な森林です。今回は高齢(ゴール)から始めて、幼齢(スタート)で終わるという見学コース。クリエーターのときとは逆コースです。
中原家の所有山林は、法正状態に近い。中原さんからの「法正林とは」という質問に、何となくは回答できるものの、きちんと応えられる学生がいません。午前中に、2つの例を挙げて、エキスに絞って予習したのに、ちょっと残念。「法正林とは、(皆伐により収穫するとき)毎年、一定量の収穫を得ることができ、その状態がずっと続けられる森林(全体)の状態のこと」だということは、教室で説明するだけでは十分に理解できなかったでしょうか。
でも大丈夫、今日、その状態の森林を目の当たりにして、さらに各齢級の人工林の時間軸に沿った繋がりがイメージできれば、実感として法正林というものがわかるでしょう。
土場では、ちょうど造材作業が行われていたので、グラップルとプロセッサの操作を見せていただきました。みんな真剣な眼差しで、操作に見入ります。
遡ること30年。次は100年生のスギ林です。反対側の斜面には50年生のスギ林。両者を比較しながら、どこが違うのかを考えさせます。木の大きさが違う、本数(密度)が違う、などなど。私たち(林業を少しかじったもの)にとっては考えなくても当たり前のことですが、初めてきちんと人工林に向き合った学生が自分で気づくことが大切です。
下の2枚の写真、何をしているところでしょう。
これは、本数密度の管理-間伐-を実感しているところです。ギュウギュウ詰めだと互いに息苦しい。でも両手を広げて触れあわない距離をとれば、快適。根付いたら動けない木にとって、間伐によって本数を減らしていく(=木と木の間を広げてやる)ことは、とても大切な作業なのです。
次は約40年生のスギ林。両側の斜面(ほぼ同じ林齢)で、取り扱いを違えています。二つの林のどこが違うのか、学生は次々と当てられ答えさせられます。この頃になると、見学のペースにも慣れたのか、学生もしっかりと返答できるようになってきました。枝打ち・間伐の仕方を変えることで林木の姿が変わることが、何となくでも実感できたでしょうか。
次は、グッと遡って7年生のヒノキ林。まだ、林と呼べる状態にまでなっていません。ここでは下刈りと最初の枝打ち(ひも打ち)について考えました。その育林的な意味もさることながら、技術者が自ら考えた方法でチャレンジすることの大切さを説いていただきました。併せて、プロとアマの違いも。学生たちは言葉は発しませんでしたが、皆それぞれに中原さんのメッセージが響いているようすが見て取れました。
最後は、3年生のスギ林。まだ弱々しい、幼齢木です。この山の奥には最初に見た130年生のスギ林。途中で見てきた林を経て、人工林が育っていく様子と人工林と作り上げていくということが、感覚的につながったでしょうか。
中原さんからは、林業や人工林施業のことだけでなく、それを通じてこの2年間をどう過ごすのか・どう学んでいくのかについて、終始、熱いエールを送っていただきました。ありがとうございます。
報告:横井秀一